Probabilistic Robotics - Chap.3 Gaussian Filters
3.2 The Kalman Filter
カルマンフィルタは線形ガウスシステムでフィルタリング(つまり余計なものを省くプロセス[1])と予測を行うために開発された。カルマンフィルタは、連続状態空間でのbeliefを実装する。離散状態空間やハイブリッドな空間には対応しない。
時刻でのbeliefは、ベイズフィルタがマルコフ過程に加えて下記3点を満たす時、平均と共分散のガウス分布で表せる。
【1点目】
状態遷移確率が線形関数で表わせ、状態がガウスノイズを加味した下記の式で表せる。
ここで、は状態ベクトル、は制御ベクトルを、それぞれ表す。またはの正方行列で、は状態ベクトルの次元を示す。そしてはの行列で、は制御ベクトルの次元を示す。このように行列を導入することで、カルマンフィルタは入力である状態と制御の線形関数として状態遷移を表現する。
なおは、状態遷移の不確かさを表現するためのガウスノイズで、平均は、共分散は、次元は状態ベクトルと同じとする。
式を多変量ガウス分布の式に当てはめると、平均で共分散である
として表せる。
【2点目】
計測確率も、状態遷移確率と同様で入力に対して線形とする。また計測データは、ガウスノイズを加味した下記の式で表せる。
ここではの行列で、は計測ベクトルの次元とする。は、平均で共分散の計測ノイズである。計測確率は、と同様に多変量ガウス分布の形で、
として表せる。
【3点目】
最後に、初期belief は、平均で共分散のガウス分布
として表せる。
これら3つの仮定は、がガウス分布で表せることを確認するのに十分である。
3.2.2 The Kalman Filter Algorithm
カルマンフィルタの入力と出力は
入力:と制御ベクトル、観測ベクトル
出力:
である。アルゴリズムは下記の数式で表せる。
Table3.1 対象が線形な場合のカルマンフィルタアルゴリズム
なおはカルマンゲインと呼ばれ、状態遷移時に観測結果をどの程度考慮するかを調節する値である。
Table3.1の2,3行目は制御を加えた結果の予測過程を、4~6行目は観測結果を元に状態を更新する過程を、それぞれ示している。
それぞれの行に対する私の解釈は、
- 2行目:制御を加えたことによる平均の変化を予測
- 3行目:共分散は分散の2乗であるから、に対する二次形式になっている
- 5行目:予測した平均に対し、予測からどれだけずれたか、を考慮して平均を更新
- 6行目:共分散を求める式なので、の部分は必ず正になる。よってとわかる。このことから、共分散を抑えにかかっていると言える。
下記に私がPythonで書いたカルマンフィルタのコードを載せました。参考になれば。
3.3 The Extended Kalman Filter
3.4 The Unscented Kalman Filter(UKF)
UKFも非線形なシステムに対応するカルマンフィルタの1手法。線形回帰を使うことで、統計的に線形化する。回帰に使うサンプル点として、Sigma Point[3]を設定する。Sigma Pointは、平均を中心とし、かつ共分散行列の主軸に対して線対称になるように配置する。平均・共分散な次元のガウス分布については、個のSigma Pointを配置する。配置時のルールは下記の通り。
ここで、で、とはからどの程度離れるかを決めるスケールパラメータである。
また、各は2種類の重みとを持つ。は平均を、はガウス分布の共分散を、それぞれ計算する際に用いる。なおとは下記の式で求める。
ここでは、分布に関する追加情報をエンコードするためのパラメータであり、分布がガウス分布であればが最良となる。
Sigma Pointは、関数を使って写像される。写像後の平均と共分散はそれぞれ、
として表せる。
3.4.2 The UKF Alogorithm
UKFとEKFの入出力は同じだが、計算負荷はUFKの方が少し高い。また線形システムでは、UFKとLKFは同じ結果を示す。UKFの利点は、ヤコビアンの計算が不要な点である。ヤコビアンの計算には微分が必要であり、時には計算が難しい。そのためヤコビアンの計算を回避できることは計算上好ましい。なおUKFはパーティクルフィルタに似ているが、パーティクルフィルタはサンプル点をランダムに取るのに対し、UKFではサンプル点の取り方が固定という違いがある。
3.5 The Information Filter(IF)
LKFと同様に線形なシステムを仮定している。LKFとの主な違いは、ガウス分布の表現方法である。LKFとその派生は、ガウス分布をモーメント(平均と共分散)を使って表している。それに対しIFは、カノニカルな表現方法を使用する(*注意:僕、カノニカルとはどういうことかよくわかっていません!調べている途中です。。)。
IFとLKFは、状態遷移確率と観測確率それぞれを、LKFと同じ式で求める。またLKFと同様に、予測と更新の2ステップで構成される。IFの入力は、カノニカルなパラメータである。そして出力はである。なおの定義は下記の通り。
IFとLKF・その派生を比較した時、下記のようなメリット・デメリットがある。
- メリット
LKF・その派生よりも数値的に安定している(安定が曖昧だが、他のことばへの言い換えがわからない。。)
LKF・その派生よりもロボットの実問題へ当てはめやすい
- デメリット
更新時に状態推定をリカバーする必要がある
状態空間の次元が大きくなると計算コストが膨大になる
参考
[0]Probabilistic Robotics
[1]Filter (signal processing) - Wikipedia
[2]テイラー展開 - Wikipedia
[3]http://lab.cntl.kyutech.ac.jp/~nishida/lecture/psc/no8.pdf